STORYBOOK
OF LEATHER

革と日常のあいだにある、
やさしい物語。

Small stories born between leather and everyday life.

ここに並ぶのは、革にまつわる小さな絵本たち。
ぱらぱらとめくって、気になった一節からどうぞ。

革と暮らす時間が、ほんの少し楽しみになる——
そんなきっかけになれたらうれしいです。

お好みの音楽をバックミュージックに、
ゆっくりとお楽しみください。

Someday, Someone’s Antique

フォー・ザ・レガシーを象徴する挿絵
フォー・ザ・レガシー
この作品、 いつか誰かのアンティーク。
革に宿った時間が、あなたの作品となり、 また誰かの“はじまり”になりますように。
革に刻まれる記憶と記録の挿絵
革は、出会った瞬間から時を刻みはじめる。
キズも、染みも、擦れさえも。 暮らしから生まれた「記憶」と「記録」。
積み重ねが、 革をあなただけの作品へ育てる。
いつか誰かに託す日が来るかもしれない。 そんな日を夢みて、一針に想いを込め、 今日もあなたのために仕立て続ける。
仕立てのこだわりを描いた挿絵
コバは、無垢な質感を残し磨き上げる。 糸は、革の色に寄り添うように、 ほんのり桜がかった生成色を選ぶ。
ステッチの間隔は、感覚で覚えている。
ミシンの音とともに素材が意味を帯びる。 最後の一針を縫い終えたとき、 それは道具へと昇華される。
革の個性を見極める挿絵
本ヌメ革は、どれもが異なる個性をもつ。 しっとりと吸いつくもの、 ざらりと荒々しいもの。
どれもが力強く、美しい。
一枚一枚に耳を澄ましながら、 その輪郭を見極め、裁ち落とす。
"らしさ”を、どう活かすかを探しながら、 革と静かに向き合い続ける。
静かな工房の朝の挿絵
静かな工房に、一筋の光が差し込む。
湯気の立つカップを手に、 今日がはじまる。
そこにあるのは、一枚の本ヌメ革。 昨日まで素材だったそれが、 今日から誰かの物語をまといはじめる。
"はじまり"を待つその革が、 静かに語りかけてくる気がした。

My Days with Leather.

工房で革財布を愛でる挿絵
本ヌメ革は、シンプルに育てる革。 でも育てるのは、あなた自身というより、 あなたの何気ない日常かもしれません。
使うほどに革は手に馴染み、 あなたもまた、その道具に馴染んでいく。
いつか誰かに託す日が来ても、 その時間は静かに受け継がれます。
まずは、今日の所作から。 そこから、革とあなたの物語がはじまります。
工房で革財布を磨く挿絵
私が本ヌメ革を好きなのは、嘘をつかない所。
きれいに使った日も、雨に濡れた日も、 傷つけて少し焦った日も、 気付けば、ぜんぶが革に刻まれていく。
暮らしの中で生まれた私だけの記録。
本ヌメ革は、ただの持ち物ではなく、 今を生きていることを実感させてくれる 小さな日記帳みたいな存在です。
工房で革財布を磨く挿絵
楽しみ方は、とても単純。 たくさん触る。たくさん使う。 日々の傷も染みも、気にしすぎない。 それだけで本ヌメ革は変わっていきます。
ときどき油分を入れて、ブラシで整える。 それくらいで、ちょうどいい。
丁寧すぎるのは、すこし堅苦しい。 革は、私の暮らしの延長にあるもの。 無理をしないくらいが、ちょうどいい。
工房で革を触る挿絵
本ヌメ革は、 タンニンで鞣しただけの、素肌にもっとも近い革。
染色をせず、整えすぎないから、 革そのものの個性がよく見える。 キズやトラ、血筋やムラも、 欠点というより、革の生い立ちを証明するもの。
光と手の脂にふれながら、 空気をまとい、ゆっくりと色を深めていく。 その途中経過にこそ、この革の魅力があります。
工房の朝の挿絵
本ヌメ革の世界へようこそ。
「本ヌメ革って、結局なに?」 もしそう思っていたなら、 今日はその入口だけ、いっしょに歩きましょう。
本ヌメ革には、見た目の派手さはありません。 日常の所作にいちばん似合う革。
使うほどに色が深くなり、艶がそっと増え、 暮らしの形に整っていく。それが魅力です。

Why Leather Turns Amber.

工房で革財布を愛でる挿絵
だからヌメ革の変化は、 上手に“つくる”というより、 日々の使用で自然に進んでいきます。
急いで仕上げなくても大丈夫。 いつもの所作のままでいい。
気づいた頃に、 あなただけの飴色になっています。
革鞄と革財布を見比べる挿絵
手の脂や小さな汚れも、経年変化の大切な一部。
鞄の中に大切にしまっているだけでは ヌメ革はあまり育ちません。
触れて、使って、持ち歩いて、 その跡が少しずつ重なっていく。
それが、その人だけの色になります。
工房で革を見比べる挿絵
ヌメ革の色は、光と空気、 そして使う人の手の熱に触れて 少しずつ深くなります。
タンニンがゆっくり反応し、 淡い肌色の革に やわらかな陰影が生まれる。
それが、飴色へ育つしくみです。
工房で革を鞣す挿絵
タンニンは、木の皮や葉に含まれる 自然の渋み成分です。
昔から人は、この力を借りて 革を「鞣す」技術を育ててきました。
化学の力で強制するのではなく、 植物の力で時間をかけて整える。
だから本ヌメ革は、 呼吸をするような質感を持っています。
革とタンニンの説明挿絵
ヌメ革が、なぜ飴色に育つのか。
その正体は「タンニン」という成分にあります。 タンニンは植物から生まれた渋の力。 革の繊維とゆっくり結びつき、 丈夫さと、あの独特の色合いをつくります。
難しい言葉に聞こえるけれど、 しくみはとても単純なもの。
今日はその入口だけ、いっしょにのぞいてみましょう。

Hide, Leather, and River.

皮と革と川の繋がりを伝える挿絵
私たちが「革」を末長く使い続けるためにも、 正しい理解と知識を大切にしたい。
皮が革になり、 川へとつながっていく物語を、 つくり手と、つかい手が 同じまなざしで向き合えるように伝え続ける。
それが、私にとっての ものづくりのはじまりであり、 小さくても確かな責任です。
工房の近くを流れる川の挿絵
川は、革づくりのもう一つの主役。 きれいな水がなければ、 良い革も生まれません。
そして使った水をきちんと整え、 地球へ返すことも、革づくりの一部。 ただ作る、ただ使うだけでは足りない。
革のはじまりにある命と、 川の流れの先にある暮らしを、 同じ線で考えていたいのです。
工房で皮を石灰漬けする挿絵
皮を革にする工程では、 石灰漬けやタンニン鞣しといった 下処理が行われ、 そのたびに大量の水が使われます。
日本で皮を革にできる場所が 限られているのは、 汚水処理まで含めた設備が必要だからです。
革づくりは、川や水の流れと 静かに、深く結びついています。
工房で皮を下処理する挿絵
現代の私たちには当たり前の 「革」という素材。
けれどその向こうには、 確かに一つの命があったことを、 忘れてはいけないと思っています。
その皮を「革」へと変えるためには、
毛や余分なコラーゲン組織を取り除き、 腐らないよう整える工程が欠かせません。
工房で皮を見つめる挿絵
革は、もともと動物の皮膚。
私たちが生きる糧として頂いた、 命のかけらです。
大昔の人たちは生き抜くため、 余すことなく使い切る道を探し、 皮を「鞣す」という技術に どうやってたどり着いたのだろうか。
その根源を思うと、 いまも静かに胸が高鳴ります。

Life with Leather

暮らしの道具として育った革の挿絵
気づけば、 新品だった革はもういなくて、 あなたの時間をまとった ひとつの道具になっている。
日記帳を持っていなくても、 そこには確かに あなたが生きた証が刻まれる。
それが、本ヌメ革の いちばん幸せな姿です。
革が暮らしの速度に寄り添う挿絵
上手に使おうとしなくていい。 丁寧すぎなくてもいい。
あなたの暮らしの速度で、 革もゆっくり育っていく。
鞄も小物も同じように、 毎日の呼吸に合わせて 静かに、自然に、馴染んでいく。
日常の所作が革に重なる挿絵
朝、自宅の鍵を締めて家を出る。 通勤電車で切符を買い、 レシートをしまう指先。
揺れる車内で、 爪がいつもの場所にすり傷をつける。
何気ない私の所作のひとつひとつが、 革にそっと重なっていく。
いつもの場所で待つ革小物の挿絵
いつも通り、机の上に置く。 陽射しと空気にふれているだけで、 気付いたら表情を変えている。
きずやシミがついたところほど、 なぜかいちばん深く育っていく。
「あ、これ。 こないだカフェで水をこぼしたやつだ」 そんな思い出し笑いが生まれる瞬間も、 革と過ごした小さな時間。
革は特別な日の飾りものではないことを伝える挿絵
革は、特別な日のためだけの アクセサリーではありません。
机の上、鞄の中、玄関の棚、 いつもの場所で静かに待っていて、 手に取るたびに、 昨日より少しだけ馴染んでいく。
それが、革と暮らすということ。

Marks of Living

傷や跡をまとった革の正直な表情を伝える挿絵
完璧でないことが、 革のいちばん正直な表情です。
傷があるから、手に馴染み、 跡があるから、思い出せる。
きれいなだけの道具ではなく、 あなたと同じ速さで年を重ねる相棒。
傷は失敗ではなく、 あなたの時間のしるしなのです。
修理や手入れで革の歩幅を整える挿絵
消したい傷もあれば、 残しておきたい跡もある。
深く入った爪のあとも、 日に焼けて濃くなった場所も、 今では自分だけがわかる目印のよう。
修理は“元に戻す”ことではなく、 これからをまたともに過ごすための作業。
革の歩幅を、そっと整える作業です。
日常の出来事が革に線や影を残していく挿絵
テーブルの角に当たった夜、 急いで鍵を探した朝、 雨粒が落ちた帰り道。
誰かと笑った日のカフェ、 少し疲れて座り込んだベンチ。
そのひとつひとつが、 革に小さな線や影を残していく。
どれも、あなたが過ごした一日です。
革の傷にそっと触れる手元の挿絵
革に傷がついたとき、 胸の奥が少しだけ痛みます。
買ったばかりのころの まっさらな姿を思い出して、 「ごめんね」とつぶやくような気持ちに。
けれどその傷は、 革があなたと同じ時間を生きた たしかな証でもあります。
傷が刻まれていく革の静かな佇まいを伝える挿絵
傷は、生きている静かな証明。
ヌメ革は、 何もしなければ確かにそのままです。 けれど日常の中では、 きれいなままでい続られる 素材ではありません。
触れて、使って、傷つけて、 はじめて表情を持つものです。

Rain as Art on Leather

雨染みがやさしい景色に変わっていく革の挿絵
一年後にふと見返したとき、 あの日、雨に濡らした模様が まるで一枚の絵画のように やさしい景色になっていることがある。
雨粒は、革に描くアート。 その偶然もまた、 革と暮らす楽しみのひとつです。
濡れた革をそっと拭き風にあてて乾かす挿絵
濡れたらそっと拭き、 風にあてて乾かす。
油分を補給して馴染ませ、 ブラッシングして静かに整える。
その時間もいつかの思い出に。
ひとりで思い出して ふふっと心和むのも一興です。
雨染みを受けとめる心の余白を感じさせる挿絵
けれど、ついたときは それも良しと受けとめる 心のゆとりや余白があってもいい。
革と暮らすということは、 思い通りにならない日も 一緒に過ごすということだから。
雨染みを見つけて少しだけ心が曇る瞬間の挿絵
雨染みは、革を扱う上で 敬遠されやすいシミのひとつ。
できればつけたくないし、 見つけたときは ほんの一瞬、立ち止まる。
その時の心のザワつきは 誰もが経験する感情との出会い。
雨粒が革に落ちる様子を描いた挿絵
雨粒は、革に描く私だけのアート。
その偶然もまた、 私だけの革の物語。
天気なんて、 気まぐれでいて 時にいじわるなもの。
だからこそ、 うまく付き合う余白を持っていたい。

Hon-Nume & Nume Leather

素肌のような本ヌメ革に『ノンファンデーションレザー』という名前がそっと添えられる挿絵
染めて隠そうとするほど、 キズやシミは かえって目立つことがある。
だから私は、 素肌のようなこの革に 名前をつけました。
ノンファンデーションレザー。 ありのままの革を、 そっと未来へ届けたいのです。
キズやシワ、血筋まで刻まれた革の表情に見とれる挿絵
けれど私は、 生きた証がそのまま刻まれた革に出会い、 胸がぎゅっと動きました。
キズも、シワも、血筋も、 ぜんぶがその革の個性なんだと。
不規則に並ぶそれは、 まるでひとつの柄のよう。
時代の“きれい”と違ってもいい。 本ヌメ革とは、きっとこういうもの。
染めて整えるヌメ革の美しさと、選べる色の広がりを感じる挿絵
むかしから、 “良い革=きれいで整った革” そう思われることが 多かったのかもしれません。
だから人は革をきれいに染めて、 表情を整えてきました。 それもひとつの、美しさ。
黒も、赤も、肌色染色されたヌメ革も みんな同じ家族です。
無染色の本ヌメ革が素肌のように飾らず並ぶ挿絵
その中で 「本ヌメ革」と呼ばれるのは、 タンニン鞣しのあと、 色をのせずに仕上げた 無染色無垢な革だけ。
まるで素肌みたいに、 飾らない、ありのままのヌメ革です。
タンニン鞣しの革が『ヌメ革』という大きな家族として並ぶ挿絵
ヌメ革という言葉は、 ほんとうは大きな家族の名前。
タンニン鞣しでつくられた革は、 染められていても、いなくても、 みんな「ヌメ革」と呼ばれます。
色のある均整のとれたヌメ革も、 素肌のような無垢なヌメ革も、 どちらもヌメ革。

Both Are Beautiful Choices

暮らしの中で自分に合う革作品と出会うイメージの挿絵
結局いちばん大切なのは、 使う人が 「これが好き」と思える革、 「これが落ち着く」と思える仕立て、 そして日常に寄り添うデザインに 出会えたかどうか。
どれがいい?どれもいい。
あなたの暮らしに似合う作品は、 きっと日本のどこかで、 今日も静かに生まれています。
さまざまな仕立てやデザインの違いが並ぶイメージの挿絵
アルチズムを感じる 品のある仕立ても素晴らしい。
ドメスティックで 高級感のある仕立ても美しい。
昔ながらの鞄屋さんの仕立ても、 やっぱりかっこいい。
革も仕立ても、 それぞれに似合う場所がある。
素朴な革に合うシンプルな仕立てで制作するアトリエの挿絵
日本の本ヌメ革は、 クラフトメイドがよく似合う。
だから私の場合、 アルチズムを感じるような 品のある仕立てはしないし、 私にはできない。
あくまでも素朴な素材に見合った、 シンプルで手作り感の残る仕立てに、 こだわって向き合っています。
革の色や仕立ての好みを選ぶ場面のイメージ挿絵
使う人がどんな革が好きで、 どんな作風が好きで、 どんなシーンに合わせたいのか。
それによって、 手にする革も変わってくる。
だから“正解”はひとつじゃない。 選ぶ時間そのものも、 革の楽しみ方のひとつです。
本ヌメ革と染色されたヌメ革が並び、どちらも美しいと感じられる挿絵
私は本ヌメ革の魅力を たくさんの人に知ってほしいから、 専門店として この革をおすすめします。
でも、 染めてないから、無垢だから"良い" というわけではありません。
どれがいい?どれもいい。 革は、あなたの好みで選んでいい。

Embracing the Character of Leather

牛、馬、豚、鹿が牧草地でのどかに過ごしている挿絵
革の根っこには、 かつて生きていた動物がいて、 その命のかけらを 私たちは分けてもらっている。
その事実と向き合うとき、 ものづくりにも、暮らしにも、 やさしい温度が生まれます。
だからこそ、 その革の個性も 大切に受けとめたい。
同じかたちのヌメ色バッグが三つ並び、トラ・シワ・タンニンムラなど個性の違いが伝わる挿絵
同じかたちに仕立てても、 革の表情はひとつずつ違う。
トラが多いもの。 シワが多いもの。 タンニンムラが強いもの。
「今回は、どんな作品が届くかな」 待つ時間も、届いた瞬間も、一期一会。
それもまた、 革と暮らす楽しみのひとつです。
革職人が革にそっと触れ、どの部位で裁断するかを見極めている挿絵
つくり手は、 革にそっと触れて、眺めて、 どこを使うかを考えます。
個性を隠すためではなく、 その革がいちばん活きる場所を 見つけるために。
本ヌメ革は、 均一にそろえるよりも、 表情に合う組み合わせを探すほど、 きれいにまとまっていく素材です。
トラや血筋、ムラ、小さなシワなど革のディテールが見える挿絵
トラと呼ばれる筋。 血筋やムラ。 小さなシワのかたち。
それらは欠点ではなく、 動物が生きていたという 確かな証。
同じものはひとつもなく、 静かに個性を語っています。
一枚の本ヌメ革が静かに佇む挿絵
革は、ひとつずつ違う。
目で見て、 そっと触れてみると、 その違いが伝わってきます。
きれいに整った革も美しい。 けれど表情のある革には、 受けとめたくなる“らしさ”がある。
革の個性をうけいれることは、 革と暮らすはじまりです。

It Can Be Repaired, and That’s Enough

修理を終えてまた日常に戻っていく革製品の挿絵
壊れたら、修理してもらおう。
そんなふうに付き合えることが、 革製品のひとつの魅力かもしれません。
新品のきれいさもいいけれど、 直しながら使う道具には、 それとは違う安心がある。
直せるんだし、いいじゃない。 そう思える相棒と、 これからも一緒に暮らしませんか。
修理台の上で糸や金具を交換している挿絵
修理をするとき、 いつも不思議とワクワクします。
「なんでここが擦れたんだろう」 「この人はどんな持ち方をするのかな」 痛みの跡から、 使い手の暮らしが見えてくる。
直すという時間は、 ただ元に戻すだけじゃなく、 もう一度その人と革の歩幅を 整える作業でもあります。
同じ製品でも傷み方が違う様子の挿絵
同じものを使っていても、 同じように壊れるわけじゃない。
癖や所作、扱い方で、 痛むところは人それぞれ。 それがまた面白いところです。
痛みは“雑にした証”ではなく、 しっかり使ってくれた証。
道具として 日常に溶け込んだ証拠です。
金具や糸、傷などよくある修理相談の挿絵
革製品の魅力のひとつに、 修理やメンテナンスがあります。
金具が壊れた。糸がほつれた。 革が傷ついた。
よくある相談です。
けれどそれは、 使ってくれた時間の分だけ 起きる自然な出来事。
革製品を手に取り直せる安心感を感じる挿絵
ものは、いつか壊れる。
それは少し寂しいけれど、 革製品には“直せる”という 職人気質ならではの 思いやりの道があります。 だから必要以上に 怖がらなくていい。
直せるんだし、いいじゃない。 そんな気持ちで、のびのび使ってほしい。

Vegetable Tanning and Chrome Tanning

タンニン鞣しとクローム鞣しを選ぶ人の挿絵
どちらが正解、という話ではなく、 どんなふうに付き合いたいかの違い。
ゆっくり歳を重ねたいなら、 植物の力を借りたタンニン鞣し。
最初の表情を大切にしたいなら、 鉱物の力を借りたクローム鞣し。
あなたの暮らしに合う方を、 どうか気持ちよく選んでください。
クローム鞣しの革の挿絵
一方のクローム鞣しは、 鉱物の成分で仕上げた革。
やわらかく、色も安定していて、 軽やかに日常へなじみます。
大きく表情が変わりにくいから、 買ったときの雰囲気を 長く楽しみたい人に向いている。
静かに寄り添う革です。
タンニン鞣しの革の挿絵
タンニン鞣しは、 植物の渋で仕上げた革。
使うほどに色が深まり、 手の温度や時間を吸い込んでいく。
同じ革でも、持ち主しだいで まるで違う表情になるのが面白い。
“育てる楽しみ”が いちばん似合う革です。
植物と鉱物をイメージした挿絵
革の世界には、 大きくふたつのなめしがあります。
植物の力でなめすタンニン鞣しと、 鉱物の力でなめすクローム鞣し。
見た目も性格も、 少しずつちがう兄弟のよう。
どちらもちゃんと、 暮らしのために生まれた革です。
革を選ぶ前に考える人の挿絵
革を選ぶとき、 色や形の前にもうひとつ、 “鞣し”という入り口があります。
植物か、鉱物か。
たったそれだけの違いで、 これからの時間の流れ方が 革との付き合い方が、 少しだけ変わっていくのです。

Brass and Nickel, Both Age with Time

ニッケル金具を使った革製品の挿絵
真鍮の変化も、たしかに魅力的。
ダールや金、無垢の金具にも それぞれの表情があります。
けれどわたしたちは、 ニッケルの静かな表情を選びました。
主役はあくまでヌメ革であって、 金具はそっと支える存在でいてほしい。
時間と一緒に、 おだやかに歳をとる相棒として。
ニッケル金具の経年変化の挿絵
実はニッケルも、 時間がたつと少しずつ白くかすみます。
表面の塗装がゆっくりと薄くなり、 空気に触れて反応していく。
真鍮ほど大げさではないけれど、 ちゃんと歳をとっていく素材。
気づきにくいだけで、 静かな変化があるのです。
金具の内部構造の挿絵
実は金具の多くは強度のために いくつかの金属を合わせた 合金が使われていて。
その上から、 真鍮やニッケルで 表面に仕上げをほどこして、 それぞれの表情に整えます。
見えている色が、 そのまま中身というわけでは ないこともあるのです。
ニッケル金具の挿絵
その中のひとつが"ニッケル"
銀色に近い落ち着いた表情で、 最初の雰囲気を長く保ちながら、 ゆっくりとやわらかく変化します。
主張しすぎず、 革の色や手ざわりを そっと引き立てる名脇役です。
真鍮金具の挿絵
真鍮は、 時間とともに色を深める金属。
くすんだり、光ったり、 使い手の癖がそのまま刻まれます。
その変化に惹かれる人が多く、 まるで主役のように語られることも。
でも金具には、 実はたくさんの種類があります。

Dyes and Pigments, Two Ways of Coloring

黒革の仕上げ工程を想起させる挿絵
わたしたちの扱う本ヌメ革は、 あえて染めない素肌の革。
けれど黒を表現するときは、 染料で深く色を抱かせ、 その上に薄く顔料をそっと重ねる。
黒は静かに守りたいから、 最後に蝋をひいてブライドルの表情へ。
目的に合わせて選んだ、 もうひとつの“らしさ”です。
染料仕上げと顔料仕上げの選び方を示す挿絵
どちらが良い、ではなく どう使いたいかの違い。
変わる時間を楽しむなら染料。 そのままを守りたいなら顔料。
染色ひとつとっても、 革を選ぶ奥深さがあります。
おおいに色選びに迷いましょう。 その時間も大切な思い出です。
顔料仕上げの革をイメージした挿絵
顔料は、表面に 薄い色の膜をつくる仕上げ。
退色や汚れから革を守り、 最初の表情を長く保ちます。
“この色が好き”という気持ちに やさしく寄り添う方法。
落ち着いた安心感が 魅力のひとつです。
染料仕上げの革をイメージした挿絵
染料は、革の中へ ゆっくりと染みこむ色。
繊維と一緒に呼吸して、 時間とともに深くなる。
光の当たり方や手の温度で、 少しずつ表情が変わります。
変化を楽しみたい人に よく似合う仕上げです。
染料と顔料という二つの染めの道を示す挿絵
革の色には、 大きくふたつの道があります。
染料で染めつける道と、 顔料で色をのせる道。
同じ「黒」でも、 触れるとまるで違う表情です。
今日はその違いを、 やさしく見ていきましょう。

The “Nume” in Nume Leather

縁側でおじいちゃんが得意げに語り、子どもとおばあちゃんが飲み物片手に笑っている挿絵
「ヌメってな、ぬめりのヌメよ」 人差し指をぴん、と立てて おじいちゃんは得意げ。
子どもはジュースを持って笑って、 おばあちゃんはお茶をすすりながらにっこり。
難しい話じゃないのに、 ちゃんと覚えたくなる。
そんな言葉が、革にはあります。
縁側で子どもがノートに学んだことを書き留めている挿絵
子どもは縁側に座りなおして、 さっきの言葉をメモにします。
「ぬめりの ぬめ」
見た目じゃなくて、 触った感覚から生まれた名前。
それが、なんだかおもしろい。
濡らしたヌメ革を子どもが触って驚いている挿絵
おじいちゃんが、革を濡らして、 「ほら、触ってみ」と差し出します。
子どもが指先でそっと触れると 「わっ、ほんとだ!」
つるつるでもなく、さらさらでもない。 しっとり、ぬめっと。
ヌメ革の“らしさ”がそこにありました。
縁側の会話と、タンナー時代を思い出すおじいちゃんの回想が重なる挿絵
実はこのおじいちゃん、 むかしタンナーの仕事をしていました。 縁側で話しながら、ふっと思い出す。
鞣しあがった革に手のひらを当て、 「良い具合だ」とうなずいた、あの感触。
あの“ぬめり”が、 ヌメ革の名前になった そんなふうに聞くと、少し身近に感じる。
縁側でおじいちゃんと子どもが革を手にしている挿絵
ヌメ革の“ヌメ”って、 なんだか不思議なひびき。
英語でも、むずかしい専門用語でもなく、 日本語の感覚から生まれた言葉だそうです。
今日は、そんな小さな雑学を。 縁側から、ゆっくりはじめましょう。

How to Begin with Leather

そのまま使いはじめたヌメ革の挿絵
私は、汚れもキズもシミも、 革の魅力だと思うから そのまま使いはじめます。
メリットもデメリットもあるけれど、 色々やってみて、迷って、 自分に合うやり方を見つけるのも 革との楽しい時間。
つかいはじめは、 革との最初の大切な対話。
自分の使い方を考えている挿絵
理由がわかると、 “自分ならどうしたいか”が 自然と見えてきます。
人の数だけ、 つかいはじめがあっていい。
正解はひとつじゃありません。
「どうすべきか」ではなく、 「どう育てたいか」。
日焼け・ラナパー・防水スプレーの挿絵
日焼けさせるのは、 色をきれいに整えたいから。
レザーオイルを塗るのは、 最初に油膜をつくって 汚れをやわらげたいから。
防水スプレーは、 雨やシミがちょっと心配だから。
どれもちゃんと理由があります。
革の使い始めを考えている挿絵
実はどれも間違いじゃなくて、 “こうじゃないとダメ”もありません。
大切なのは、 どうしてそうするのかを 知ってから選ぶこと。
そうすると、ぐっと 革との距離が縮まるものです。
新しい革製品を前に迷う挿絵
革のつかいはじめって、 ちょっと迷いますよね。
日焼けさせる? レザーオイルを塗る? 防水スプレーは? それとも、そのまま使う?
今日はそんな誰にでもおとずれる 革との最初の一歩の話。

Lanolin-Free Care, First Step

ブラッシングで整った革の挿絵
革にとって油分は「ごはん」みたいなもの。
塗るほど良い、ではなく 足りない油分を補うだけ。
手触りがしっとり戻ったら それで充分。 革は、ツヤや色でこたえてくれます。
育て方は、あなたのペースで。 焦らず、ゆっくり、じぶんなりに、 それが本ヌメ革には丁度いい。
レザーオイルを塗り込む挿絵
レザーオイルは 植物性、動物性など種類はさまざま。
本ヌメ革には、植物性がおすすめで、 さらっと伸びて、ベタつきにくい。
本ヌメ革の“素肌感”を損なわず、 丁度良いしっとり感に仕上がります。
ほんの薄く、少しずつ。 革が落ち着くところが適量です。
レザーケアの頻度を想像する挿絵
きれいに使いたい人は、一ヶ月に一回くらい。 手でよく触れるものは、二~三ヶ月に一回。 味を刻みたい人は、半年に一回でも大丈夫。
いちばん大切なのは、 自分の手で触れて具合を確かめること。
「カサカサしてきたな」 と思ったら、その時が補給どき。
やっているうちに少しずつ、 革の声を聞けるようになりますよ。
油分が抜けていくイメージの挿絵
油分は少しずつ抜けます。
水分は空気や手のぬくもりから 呼吸みたいに取り込めるけれど、 油分だけは、 入れてあげないと増えません。
そのまま放っておくと、 乾きが進んで、ひび割れの原因になることも。
だから、たまに“油の貯蓄”をしておく。 それが、革を長く楽しむコツです。
初めてのお手入れに迷う挿絵
レザーオイルって、 いつ・どのくらい塗るの? はじめては、 わからないから、ちょっと気難しい。
革は人と同じで、喉が渇く。 水分は湿気でだいたい足りるけど、 油分は入れないと減っていく。
だから、革のごはんは油。 この巻は、 はじめての油分補給のお話。

Water-Repellent Spray, As You Like

防水スプレーを使う前に目立たない場所で試す挿絵
もし不安で、 革を連れ出せなくなるなら、 ひと吹きして、毎日使うほうが楽しい。
革は、使ってこそ育つもの。 安心も、愛情のひとつです。
ただ、シリコンが苦手な革もあるので、 まずは目立たない場所で軽く試してから。
大丈夫そうなら、 “お守り”がわりに、ひと拭きしよう。
防水スプレーをお好みで選ぶ挿絵
だから防水スプレーは、 お好みで大丈夫。
雨ジミが苦手な人は、 気をわず使っていい。
変化をじっくり楽しみたい人は、 使わない選択も素敵。
どちらも間違いじゃないから。 こうすべきより、「こうしたい」を大切に。
防水スプレーの膜のイメージ挿絵
でもその膜は、 ビニール傘みたいなもの。
雨はしのげるけれど、 革に空気が直接ふれる時間は 少しだけ減ります。
油分が入りにくくなって、 ツヤの育ち方が、ゆっくりになることも。
得意なことと、苦手なことは、 いつも隣り合わせ。
防水スプレーで水を弾く挿絵
防水スプレーをかけると、 革の表面に うすいシリコン膜ができます。
水や汚れを弾いてくれて、 雨の日も少し安心。
シミになりにくいのが、 いちばんのごほうび。
“怖い”が少し減るだけで、 革はぐっと身近になります。
防水スプレーをするか迷う挿絵
防水スプレーって、 したほうがいいのかな? しないほうがいいのかな?
雨の日のシミを見ると、 ちょっと心が揺れますよね。
今日は、防水スプレーの いいところと、気をつけたいところを、 どちらも知ってから選ぶお話。
答えはひとつじゃありません。

Sun Tanning for Leather

日焼けを楽しむ上級者の挿絵
日焼けは、ちょっとだけ 革上級者のたしなみ。
急がず、焦らず、革の顔色を見ながら。 うまくいけば、 自分だけの下地ができる。
でも無理はしなくて大丈夫。
そのまま使うのも、立派な正解のひとつ。 革との時間は、自由でいいのです。
日焼けの失敗あるある挿絵
焼きすぎも、あるある。
強い日差しを浴びすぎると、 油分が抜けやすくなって、 ひび割れの原因になることも。
日焼けは、ゆっくりが基本。
“ほどほど”が、 いちばん難しくて、いちばん大切。
面を変えて日焼けさせる挿絵
日焼けには、コツがあります。
時間を見ながら、 陽の向きに合わせて、 そっと面を変えること。
同じ向きのままだと、 片側だけ強く焼けて、 ムラになることも。
革は正直だから、 手間がそのまま色に出ます。
日焼けさせる理由の挿絵
先に日焼けさせる人が いるのには理由があります。
色をやわらかく整えて、 汚れを目立ちにくくしたい。
自分の好みの色から、 革との暮らしを始めたい。
そんな“はじめの儀式”を 楽しむ人も多いのです。
日焼けさせるか迷う挿絵
日焼け、させてから使う? それとも、そのまま?
ヌメ革ならではの ちょっと悩ましい選択。
今日は“日焼け”のいいところと、 気をつけたいところを、 やさしく覗くお話。
少し大人向けのお話です。

Facing Tools, Facing Myself

姉が弟へ革財布を手渡す挿絵
もし役目を終えたと感じたら、 誰かに手わたしてみてほしい。
革はまた旅に出て、 ちがう手の中で、ちがう朝を迎える。
気づけばあなたは、 “はじまりの人”になっている。 遠いどこかで続く物語を思うと、 胸の奥がすこし温かい。
道具は人から人へ、静かに時間を運んでいく。
新しい財布を手に出勤する朝の挿絵
それでも、合わなくなる日は来る。 環境が変わり、リズムが変わる。
そんなときは、無理をしなくていい。 道具のために暮らすのではないから。
毎日は、本当は、 もっと自由でやさしいもののはず。
あなたの時間が、 あなたらしくありますように。
財布に慣れてきて笑顔で見せる挿絵
それでも人は、慣れていく。
手が覚えて、心が迷わなくなる。 ぎこちなかった所作がほどけて、 遠かった距離が、ぐっと近くなる。
季節がめぐるように、 人と道具はゆっくり歩幅を合わせる。
いつのまにか日常になる。 時間だけが持つ、やさしい力。
暮らしの中で財布をしまう挿絵
同じかたちでも、 ある人にはやさしく、 別の人には遠く感じることがある。
置く場所、開く速さ、 持ち替える順番まで、暮らしはみな違う。
道具はその違いを、静かに受けとめている。
完璧ではないかわりに、 人のそばにいようとする。
初めての財布に戸惑う挿絵
この世界に、 誰にでもぴったりの道具は、きっとない。
手の大きさも、指の長さも、 好きなかたちも、人それぞれ。
成長期の手と大人の手はちがう、 昨日と今日の気持ちも、同じではない。
道具は静かに、そこにあるだけ。 変わっていくのは、いつも人のほう。 それは欠点ではなく、個性と出会うということ。

Design or Function?

自分に合う鞄と財布をみせてほほ笑む二人の挿絵
両方そろえばもちろんうれしい。
でも、どこかに偏ったものの 不便さや、面白さに出会うことも、 道具を選ぶ楽しみのひとつ。
悩んだときは、そっと立ち止まって 基本に立ち返ってみる。
今日は、どんな私でいようかな。
手に馴染む財布を確かめる挿絵
しっくり手に馴染む道具がほしい日は、 今の持ち物との相性を想像する。
利き手の動きや、いつもの所作、 生活リズムをイメージすると、 「必要としている機能」が ふっと心に浮かぶ。
そうすると、 いる機能と、いらない機能が 静かに輪郭を帯び始めます。
装いのアクセントになる鞄を選ぶ挿絵
オシャレのアクセントがほしい日は、 色やかたちに心を預けてみる。
少し使い心地はわるくても その子ごと好きになれそうなもので 思いっきり楽しんでみると、
機能性にはない 心の満足感があるものです。
今の自分が何を求めているか考える挿絵
私たちは 正解を求める習性があります。
でも、ほんとうは、 何が正しいかではなくて、 今の私が、「何をほしがっている」のか。 それが大切だと思います。
良かったかどうかは 手にとって感じたことがすべて。
デザイン性か機能性か迷う挿絵
鞄や財布、小物をえらぶとき、 人はいつも迷う。
見た目にときめくものか、 手になじむ使いやすさか。
それぞれの選び方があっていい。 正解はありません。

この絵本たちは、不定期に更新されます。
また思い出したころに、
そっとのぞいてみてください。

FOR THE LEGACY

この作品、いつか誰かのANTIQUE.

Handcrafted by
LAST Drip Designs
EST.2020.01

Aging is proof of your life

あなたにふさわしい作品に出会えた時、
その記録は、いつか誰かの“はじまり”になる。

© LAST Drip Designs Co., Ltd.
無断転載・複製・二次利用を禁じます。
Story Direction & Writing : Takahiro Ikeda
画像生成・文章制作には一部AI技術を活用し、 職人の視点と言葉で再構成しています。
内容には諸説ある考え方が含まれます。 この絵本が“知るきっかけ”となり、 それぞれの理解につながれば幸いです。

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2025年7月2日

今日も、あなたのために。

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